(1)一点注意の動きがある人(注意深い人)
 注意の仕方に影響する動きは四種類あります。
身体を外側から内側に回転させながら何かを指示する動きを「一点注意の動き」といいます。ものごとに注意するときに、一つのことに深く注意を集中するのがこのタイプです。このタイプの人の典型的な動きは、外側から内側に身体を閉じるように動かしながら一点を指さすことです。
この動きには相手の注意を自分が望むある一点に引きつけたり、相手を望む方向に移動させたりするパワーがあります。
 例えばプレゼンテーションのときに、発表者が参加者の注意を白板の文字に引きつけるために、自分の指や指示棒を使って重要な場所を指し示すと、参加者は発表者が動かずに説明したときよりもずっとその文字をよく見るようになります。また、相手をどこかに誘導しようとするときにも、一点注意の動きを使いながら「あの窓際の席で待っていてください」とか「田中君、その書類をあの机の上に置いてください」などと伝えると、相手はその指示に従いやすくなります。相手に指示したり命令したりするのがうまい人はこの動きを持っていることが多く、反対に指示や命令が下手な人はこの動きを持たないことが多いのです。
 さて、このように「動き」は人間関係の中で他人に対して非常に強い影響を与えますが、実はそれと同時に自分自身に対しても非常に強い影響力をもっています。
 一点注意タイプの人が感じる「注意」とは、「一つのことに注意を集中する」ことです。彼らは全体にまんべんなく注意を払うことよりも、一つ一つのことに注意を集中することが得意なのです。
 例えば書類などを確認するときも、漠然と全体を見るというより一つずつ項目を確認していこうとします。様々な現場で点検のときに利用されている「指さし確認」というまさに一点注意の動きが持っている有効性を仕事の中に取り入れたものなのです。
 従ってこのタイプの人は当然「指さし確認」が得意で、そのことに対して面倒くさいとか、いちいち煩わしいなどと感じることはほとんどありません。このような注意の仕方は本人にとっては極めて当たり前のことに感じられるので、このタイプの人は不注意な人のことをなかなか理解することができません。
 逆に一点注意の動きがない人から見ると、いちいち細かいことを気にする神経質な人と感じられがちです。

 

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