(6)虚脱の動きがある人(やる気がない人)
 上から下に力を抜いて動く動きを「虚脱の動き」と言います。がっかりしたり、疲れたり、また、笑ったりしたときに力が抜ける動きがこれに当たります。
 この動きには相手に対して、やる気がないことや本気ではないことを感じさせるパワーがあります。例えば上司が部下に仕事を頼んだときに、部下がダラダラと力が抜けた態度をしていると、その部下はやる気がないと思われてしまいます。
虚脱の動きが得意な人にとって「意図する」ということは、「所詮、実現不可能だと考える」ことなのです。このタイプの人は意外にも初めに非常に高い目標を掲げますが、しかしそれは決して実現するためのものではなく、最終的にがっかりしたり落ち込んだりするための目標なのです。
 虚脱タイプの人は最後まで自分の信念を貫いて実行するということは考えず、むしろそうすることは極めてバカバカしいことのように感じます。そのために、虚脱の動きがない人から見ると、このタイプはまったくやる気がなくあてにならない人だと思われています。
ところが、大変興味深いことに、虚脱の動きは実は多くの人に好まれる動きなのです。 
私たちは元来、他の動物と同じように、のんびりだらだらと、できるだけ楽に生きることを望んでいる動物なので、虚脱の動きが大好きです。
ところが、生産性や効率を重視する現代社会では、虚脱の動きは大変厳しく戒められています。そこで私たちは、現実社会の中では厳しく戒められた虚脱の動きをテレビの中に求めています。今日、お笑い番組やバラエティ番組が放送の中で大きな比率を占めているのは、私たちがそうした動きを見ることを強く望んでいるからです。
テレビで活躍しているお笑いタレントは虚脱の動きが大変得意です。彼らはやる気がなさそうだったり、情けなかったり、がっかりしたり、笑ったり、泣いたり、倒れたりといった動きを、毎日毎日、視聴者に対して繰り返し提供し続けているのです。
 また、虚脱の動きは私たちの感情に強く働きかけるので、使い方によっては相手の本音を引き出し、相手と急速に親しくなる上で非常に大きな役割を果たすこともあります。

 

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