−(3). 接触型デザインの店(販売員空間が広い場合)の 接客方法
 

 昭和の終わりころには、百貨店の食品売り場で大規模な店というのは、

単にケースの本数が多いというだけの店でした。

つまり、販売員の空間が狭い接触型デザインの店が横につながって

大きな一店の店になっているものが主体でした。

そのような店で数人の販売員が客待ち姿勢をする

なわばり主張の度合いは非常に強くなり、

客はなかなか近づきにくくなります。

しかし、そういう状況でも、もちろん買う客は存在しています。

老舗の場合は、初めからそこで買うことを決めている客も多いので

販売関係者はこうした販売員のアクションが

客を遠ざけるなどとは思ってもいませんでした。

逆に、ひやかし客が近づきにくいことを、

店格の高さと勘違いしていた販売関係者もたくさんいました。

 

しかし、このような店でも、状況によってはなわばりが解除され

大変買いやすくなることがありました。 

それは、店に購入客が来たときです。

客が来ると、販売員が接客や作業のアクションをするので

自然になわばりが解除されます。

すると、商品空間にスキが生じるので、

ひやかし客が近づいて来ます。

デパ地下の場合、ひやかし客とはいっても、

まだ何を買うかを決めていないだけの客であって、

非常に可能性のある見込み客だといえます。

そこで、このようなひやかし客をたくさん引き付けることが

できる店ほど、結果としてよく売れるのです。

 

 こうした状況の中に、販売員空間が大変広い店をつくり、

販売員のアクションをコントロールして、

ひやかし客をどんどん引き付けることによって

爆発的な業績をあげる店

が登場しました(叶匠寿庵参照)。

その店には大勢の販売員がいて、

全員がなわばり解除のアクションをしており、

商品を自由に見ることができたので

客にとっては非常に魅力的な店でした。

特に、他店の販売員が盛んになわばり主張のアクションをし続けていたので、

客はまるで周囲の店から逃げてくるかのように、

その店に集まって来ていました。

 



戻る
次へ