1−(3).造花とサンプルで生きた商品空間を開発した店
(和菓子・追分だんご本舗)
 

イラストの店は、約22年前に、東京・渋谷の

東横のれん街にあった和菓子店です。 

 

 

 この店は、L字型のごく平凡な接触型店ですが、

当時は、非常に多くの客を引き付けていました。

その人気の秘密を探ってみましょう。

平面図で見ても、やはり単なる

販売員空間が狭い、接触型デザインの店

だが、よく見ると、商品空間の奥行きが従来よりも広くなっています。

この店の仕掛けは、商品空間のつくり方にありました。

 

 当時、このような菓子店の商品ケースは奥行き約60cmが普通で、

中は2〜3段に仕切られており、商品の見本を少し

並べる以外は商品のストック場所になっていたのです。

しかし、この店の場合は、ケースの奥行きは広く、

中は一段で、ケースの中に季節の花などを美しく飾っていました。 

一番の特徴は、ケースの中の商品がすべてサンプルだったことです。

サンプルの利点とは何か?

1.商品空間のパワーが変わらない。

商品が少なくなって、商品空間の魅力が減ることを防げる。

普通は、夕方の繁忙期に、ケースに商品が少なくなると、

残った商品が売れにくくなるが、たくさん商品を取ると

売れ残ってしまうという問題がある。しかし、サンプルの場合は

商品量が変わらないので、最後まで売り切ることができる。

2.実際の商品よりも、刺激の強い商品空間が演出できる。

大量陳列などで、客の眼を引き付けられる。

 

 

現在ではこのような一段のケースは珍しくなくなりましたが、

当時は多くの客の眼を引き付けたのです。 

 

 この店はその後、再び、なまの商品を陳列するようになりました。

その理由として考えられるのは、

1.その後、商品量を現場で調節できるミニ工場を併設した

ライバル店が登場し、なまの商品を効率よく陳列するよう

になったため、サンプルでは客を引き付けられなくなった。

2.サンプル陳列の場合、頻繁にディスプレイなどを変更しないと、

商品空間の魅力が保てないが、実際に実行し続けるのは

むずかしいため。

   

以上のような理由から、この店は再び、なま商品を陳列するように

なりましたが、豊富な商品空間をつくることはむずかしくなりました。 

写真は現状店(2008年3月) 

 

 


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