デパ地下呼び込みの失敗
私は悪くないのになぜ?!(洋菓子)
 

 デパ地下で呼び込みを行って客を引き付けるのは

非常に難易度の高い接客のひとつである。

呼び込みには、もちろんうまい下手があるが、

呼び込みの成功・失敗には、店の構造や

通行客数が深く関係している。

呼び込みそのものはうまくても、

なかなか客を引き付けられない例を観察してみよう。

この店は、デパ地下にある洋菓子店で、

正面のメイン通路に面したケースでギフト商品を、

側面のサブ通路に面したケースで持ち帰り商品を売っている。

持ち帰り商品の前は人通りが少ないためなかなか売れない。

そこで、販売員がメイン通路に立ち、説明パネルを持って、

持ち帰り品(季節限定商品)の呼び込みをはじめた。

  

 

 この販売員はなかなか呼び込みがうまい。

説明パネルを掲げて、よく通る声で元気よく

流れるように呼び込みをしている。

 

パネルを掲げる動きや、説明する動きもうまいし、

説明の内容もわかりやすくしっかりしている。

だから、この販売員を「失敗例」として紹介するのは

実際にはまちがっている。

しかし、現実に客を引き付けることができないので、

「失敗例」と言わざるをえない。 

それでは、なぜ、こんなにうまい呼び込みが功を奏さないのか?

その理由は、この店のデザインにある。 

普通、呼び込みは商品のすぐ横で行うものだが、

彼女が一生懸命紹介している商品は、

残念ながらケースのはずれの方に置いてある。

もちろん、そこに客が来ないからこそ、

わざわざメイン通路に立って呼び込みをしているのだが、

 

いくら呼び込みがうまくても、奥のケースまで客を誘導するのは

容易ではない。 

 ほんの数メートルのことだから、呼びかければ客が集まるのではないかと

思いがちが、周囲にはたくさんの競合店がひしめいており、

客の目の前には魅力的な商品がたくさん並べられているのである。

 

 だから、実際に奥の商品を買う客は少ない。

 

しかし、同じ商品であっても、立地がよければもっと売れる。

この店の場合も、他のデパ地下に出店している店で

もっと業績が良い店はたくさんある。

 

 *

物販店にとって一番大切なのは

立地である。

デパ地下では、メイン通路に面しているかいないかで

売り上げは大きく違ってしまう。

もちろん、販売員の力は大きな意味を持つが、

どんなに優秀な販売員でも、店の立地が悪いと

どうすることもできないことも多い。

店の売り上げが伸びないとき、

販売員の接客技術が下手で売れない

というケースもよくあるが、

販売員はがんばっているのに、

店そのものの立地や構造が悪いために

業績が伸びない例も意外に多い。

もういちど、自分の店の立地や、周囲の店との関係を

冷静に観察してみることは、売れる店をつくるための

大きなヒントになるはずだ。 

 

 

 

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