客を驚かせ興奮させる達人
何をどのように叫べば客が来るのか?(催事販売)
 

 

通行量の多い道に簡易な店を出して、

ごく短期間だけ販売する催事販売がある。

売られている商品は、多くの場合、

正規のルートを通らないもので、破格値で安売りされる。

このような店には非日常性があり、客を強く引き付ける魅力がある。

ここでは、かつて新宿駅構内で実際に行われていた、

極めて変わった販売方法を紹介する。

この店は、「2枚4000円の婦人もののマフラー」を

なんと、「4枚1000円」で販売していた。

しかし、いくら安いと言っても、メーカーも品質もはっきりしない

このような商品が果たして売れていくものなのか?

店の構造はイラストのような「販売員空間が狭い接触型デザインの店」である。

販売員は、呼び込み係、精算包装係、商品補充係の3人。 

 

 

 さて、このような催事でもっともむずかしいのは客を集めることである。

いくら通行量の多いところに商品を並べても、

なかなかたくさんの客が来るというものではない。

そこで、必要になるのが呼び込みである。

ここでは若い男性が呼び込み係を専任している。 

一見、ごく普通の呼び込みのように見えるが、

実はその声量が半端ではない。

駅構内に響き渡り、遠くの人も思わず振り向くほどの大音量。

しかもマイクなどは使わない肉声である。

 しゃべる内容は極めて単純である。

いつでも「ただ今から」安売りが始まる。 

 この店の特徴は、販売員が誰も接客アプローチをしないことである。

呼び込み係はひたすら呼び込むだけ。

補充係はひたすら補充するだけ。

精算・包装係りはひたすら精算・包装するだけ。 

だから、客は危険を感じることなく、自由に商品空間に

近づき、商品を検討することができる。

 このような店では、何人かの客が興味を引かれて店に近づいて行くと、

その客がサクラの役割を果たし、次々と新しい客を引き付けていく。

ある程度、人だかりができると、あとは切れ目なく

新しい客がやって来るようになる。

売れている、売れていないに関係なく、

「ありがとうございましたー」を連呼する。 

別に客は押し合ったりしていないが、

「押さないでくださーい」を連呼する。 

 「四枚1000円」を連呼する。 

この店の魅力は、なんと言っても、呼び込み係である。

このような売り場で、人が叫ぶのをやめて

録音テープを流すと、その魅力は半減するだろう。

この店を見ると、客にとってもっとも興味があるものは、

商品ではなく、販売員のアクションだということがよくわかる。

 

この店は

 

 

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