漬物売り場の静かな達人
なぜ、あの人だけが売れるのか?
 

どこのデパ地下にも必ずある漬物売り場。

商品が目新しいわけでもなく、催事のように派手に売っているわけでもないが、

日本人にとってはなくてはならない惣菜のひとつで根強い人気がある。 

こういう売り場にも、なぜか特別によく売れる達人が存在している。

漬物なんて、ファッションなどと違い、

販売員の説明や推奨が功を奏するとも思えないのに、

いったいどうして販売成績に差が生じるのだろうか?


 

 

 売り場をよく見ると、白菜やきゅうりなどの漬物が

そのままむきだしで陳列されている。

非常に生々しい商品が並ぶ店で、商品を包装するために

販売員は通路に出ていることが多い。

販売員が通路に出て販売する方法は、実は大変むずかしい。

なぜなら、販売員は客のすぐ近くに立つことになるので、

なわばり主張になりやすいからだ。

それでは、達人はどのようにしてなわばりを解除するのか?

イラストの左の女性が達人である。

 達人は通路に背を向けて商品の整理をしながら、

「いらっしゃいませー、こんにちわー」

などと声を出してている。

そのとき、達人は全く通行客の方を見ていない。

客がいるかいないかには関係なく、アクションを続けている。

これが、なわばり解除のアクションになっている。

すると、販売員のすぐ近くまで客が近づいて来た!

客は勝手に見ていて購入を決めると、自分から声をかけてくる。 

達人はニコニコと笑顔で対応。

すると、別の客が声をかけてきた。

こういうことはよくある。

客がいるときに限って次の客がやって来る。

これは、販売員が接客を開始することによってなわばりが解除され、

それによって客が引き付けられてしまうからである。 

なれない販売員はあせってしまうが、

よく売れる販売員は客が重なることを頻繁に体験している。

こういうとき、どう対処するかが売り上げを左右する。 

達人は、最初の客の商品を包装しながら、

次の客に声をかけている。 

そして、近くにいた別の販売員に声をかけて、

接客を振り分けた。 

 

さて、達人の接客アクションを観察してみよう。

客の方にゆっくり近づいて商品を渡し、

お金を受け取っている。

前にゆっくり動く接近の動きを使うと

ていねいで親切なイメージを与えることができる。 

達人は急いでレジに向かう。

客から離れるときに、すばやく動くことは

感じがいい動きである。 

もどってくるときに、達人は遠くから客に笑顔を見せた。

普通の店員は、なかなか離れたところから客に

笑いかけることはできない。

さすがは達人! 

 客におつりやカードを返し、お礼を言うところは

一連の接客のフィニッシュになるので非常に大切。

接近の動きを使って、ていねいに受け渡しをし

ていねいにお礼を言うと、

非常にイメージがよくなる。 

なわばりが解除されているので

次々と客が引き付けられる。 

 

客がいないときの達人のアクションはこんな感じ。 

なかなか客が来ないこともあるが、じっと立ったりせずに、

商品整理や補充などのアクションをしながら、

声を出して活気をつけ、なわばりを解除し続ける。

やがては客が近づいて来る。

客に向かってではなく、違う方向に声を出し続ける。 

 もちろん、商品が気に入らなければ客は買わない。

それは、しかたがないことである。

どんな達人でも、気に入らない商品を売りつけることはできない。 

しかし、なわばりが解除されていれば、

そのうち買う客も現れる。

 

ちなみに、一般の販売員が陥りやすい接客は次のようなもの。

通路の方を向いて、客が来るのを見張ってしまうと、 

強いなわばり主張のアクションになる。

 殺気を感じて客がなかなか近づかなくなる。

これではいけないと思って、

「いらっしゃいませ」など通行客に向かって声をかけると、

なわばり主張はいっそう強くなる。 

それを繰り返しているので、なかなか客がつかない。

熱心になればなるほど、客を遠ざける。 

 売れる販売員は、なわばりを解除するので客がどんどんやって来るが、

売れない販売員は、なわばりを主張するのでなかなか客がやって来ない。

そういうことを一日続けると、

大きな業績差となって現れる。

 

この店は

 

  

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