左に立っている男性が、催事のプロである。
販売を知らない人間は、安い商品さえ並べれば
客がどんどん買ってくれるものだと思いがちだが、
現実はそんなに甘くない。考えてみれば、
かばんなんかみんなたくさん持っている。
この店のターゲットのおばさん連中だって、
同じようなかばんをたくさんもっているはずだ。
いったいどうすれば売れるのか?
まず、第一声はなんとすればよいのか?
達人はいきなりしゃべりだした。
客が集まらないうちから説明を開始した。

達人には、まず客を集めてから、説明を開始しようという
気持ちはまったくない。一般に、説明販売のプロは
誰も立ち止まらないときから、しゃべり始める。
この達人も客が目の前にいようといまいと(通行客は存在している)
どんどん説明を行っている。

客は、買うことが決定しないうちに、接客されることを嫌う。
達人の場合は、特定の客に話しかけるのではなく、
説明トークをしているだけなので、客はあまりプレッシャーを感じずに
近づくことができる。
そうこうしているうちに、客が近寄って来た。
しかし、ぜんぜん接客する気配は無い。

達人は客とは無関係にどんどん説明している。
客が商品を手にとっても、関心を示さない!

実は、こうすることによって、
自分のなわばりを解除し
客が自由に商品に近づけるようにしている。
客がひとつの商品をじっと見始めた。
達人は、近づいて商品の説明を開始。
いよいよ売るのか?

と思ったら、客を残して別の方を向いて説明を続けている。
もちろん、客から質問や相談を受ければ対応する。
しかし、求められなければ、そっと客から離れて客に自由に見てもらう。

客は迷っているようだ。
しかし、達人は無理に勧めず、そのかわり、
客とは違う方向を向いて、
今買うべきだということを説明している。

見ていた客から声がかかった。
ほとんど接客しないのに1個売れた!

えっ、客にレジの場所を教えるだけ?
清算したり、客をレジに連れて行ったりしないと
売り逃すのではないかと心配になるが、そういうことはしない。
買うことが決まった一人の客のフォローをするよりも、
この場にいて接客トークを続けた方が効果があるのだろう。
全く売る気を見せずに、客を安心させて販売する催事の達人でした。
この店は
