試食販売の目的は、なんといっても試食してもらうこと。
食べてくれた客のうちの、ほんの一握りの人が買うわけだから、
ケチケチせずに、一人でも多くの客に試食してもらうことが
売り上げをあげる秘訣になる。
しかし、タダで食べられるのだから、
いくらでも客が集まると思ったら大間違い。
試食したら、買えと迫られるに決まっているのだから、
たいていの客は警戒している。
次の例がなぜ失敗なのか、アクションから検証しよう。
この店は催事用につくられた梅干を販売するための店舗。
若くてイケメンだが、あまり販売経験がなさそうな
販売員ばかりが4人、店の前に立っている。
四人は並んで前を通る客に声をかける。

試食用の商品は梅干。
梅干をまるまる一個、トングにはさんで、
それを通行客に勢いよく差し出す!

客は思わず驚いてよける。

中に一人だけ、ゆっくりと差し出す販売員がいて、
たまたま通りかかった年配の女性客に
そっと梅干をさしだした。

金属のトングを目の前に差し出されて
戸惑う女性客。
しばらくは、意味が分からない。

販売員が、そのままそっと差し出しながら、
やさしく声をかけたので、女性客はようやく
試食販売だということに気がついた。

やさしい女性客は販売員に好感を持ったらしく
誘導にしたがって梅干を試食してくれた。
*
しかし、他の販売員はいっこうに試食してもらえない。

*
なかなか試食販売が成功せず、集まって
作戦会議をする4人。
これではいつまでも売れない!

*
失敗から学ぶ教訓
■店の構造が悪く、販売員空間に立って販売できない。
■販売員四人店の前に立って客を待ち受けているので、
客は怖くて近寄れない。
■試食品を渡すのに、金属製のトングを使っているため、
客に危険を感じさせてしまう。
*
典型的な客を遠ざけるアクションが生じ、
激しいなわばり主張をしているので
客は警戒してなかなか近づかない。
なわばり解除のアクションを工夫する必要がある。
この店は
