多くの人が通行する「道」を店内に引き込もうとしたのが
引き込み型デザインの店です。
引き込み型デザインの店は、商店街の和洋菓子店や貴金属店などに
よく見られる店のデザインで、商品空間を店内に置いています。
戸板一枚の市の店がその場に定着し、
商店主や家族が住みついた、家と店が一緒になった構造なので、
本来は客が自由に入ることがむずかしいデザインになっています。
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下のイラストの店は、20数年前に、駅ビルや地下街などで
よく見られた、引き込み型デザインの和菓子の店です。
入り口には仕切りはありませんが、商品空間が店内にあり、
客が店内に入らなければ商品を見ることができない、
引き込み型デザインの店です。
さらに、販売員の空間が狭いので、
このようなデザインの店を
「販売員空間が狭い引き込み型デザインの店」
と言います。
このような店では、ケースの後ろに狭い販売員空間があり、
ケースの前に客のための客空間が用意されています。
しかし、店のすべては販売員の管理下にあるので、
なわばりを解除するのがなかなかむずかしい構造です。
一方、
「販売員空間が広い引き込み型デザインの店」は、
下のイラストのような構造で、
大型の和洋菓子店や貴金属店などによく見られます。
かつては、このくらいの規模の店は路面店でなければなかなか
見られませんでしたが、最近は、ショッピングセンターや
百貨店などの中にも、大型の店が見られるようになりました。
ひやかし客が中に入りにくいという問題点はありますが、
販売員空間が広いために、いったん中に入ると
比較的落ち着いて商品を見ることができます。
