店頭にも豊富に商品を陳列して、店内に入ってから客が店の中を
ぐるぐると見て回るような店を、接触・引き込み・回遊型デザインの店といいます。
店頭にたくさんの商品が出ているため、客が道に立ったまま
商品を見ることができ親しみやすいイメージがします。
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「販売員空間がある、接触・引き込み・回遊型デザインの店」
このタイプの店は、いちいち販売員に相談しなくても決められるが、
決定するまでに長い時間がかかるような商品
(書籍、レコード、ファッション雑貨、生活雑貨)
を扱っている店に多く見られます。
このタイプの店は、販売員が販売員空間に入っていて、接客をしない
セルフサービス方式
になり、商品量のわりには、少ない販売員で維持ができます。
販売員が少ないということは、なわばり主張が少ないという利点もありますが、
あまりにも販売員の数が少なくなると、刺激がなくなり、
店としての面白さに欠けるという問題点も生じます。
最近の店には、天井まで積み上げるような、非常に豊富な
商品空間を用意することによって、販売員が少ないという
欠点を補っているところもあります。
このデザインの店が機能するためには、豊富な商品量のある
魅力的な商品空間が不可欠となります。
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「販売員空間がない、接触・引き込み・回遊型デザインの店」
販売員空間がないタイプの構造は、商品を決めるために販売員の
協力を必要とするような商品を売っている店によく見られます。
販売員空間がないので、基本的に、
セルフサービス方式ではありません。

このタイプの店は、販売員が客を遠ざけるアクションを生じやすい構造ですが、
入りやすい店にするための条件は、決して
セルフサービス方式にすることではありません。
客は、販売員が誰もいない店よりも、
たとえ入りにくくても
販売員がいる店に魅力を感じます。
そういう店で、販売員がなわばりを解除するチャンスを客は待っているのです。
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販売員がじゃまで「入りにくい」と感じるということの背景には
その店に「入りたい」という要求があります。
それに対して、 販売員がぜんぜんいない店は魅力に乏しく、
「入りたいのに入れない」という感性は生じにくいのです。