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世の中、思い通りになることなどまれである。
自分勝手なわがままばかり言ってはいけないが、
ときには、相手に怒りをぶつけなければならないこともある。
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「怒り」の表現はコミュニケーションにおいては大変重要だ。
なぜなら、「怒り」をうまく相手に伝えることができれば、
実際に暴力行為に及ぶことなく、
相手に譲歩してもらえる可能性が高いからである。
繰り返すが、「怒り」を相手に伝えることと、
実際に暴力を振るうことはまったく次元が違う話である。
相手にうまく「怒り」を伝えられないことから、
突然キレて、本当の暴力をふるってしまうと大きな事件になる。
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人が自分の利益を阻害されたときに、怒るのは自然な感情だ。
しかし、怒りに目がくらんでわけが分からなくなってしまったのでは、
誰の得にもならない。怒りの感情と動きをコントロールし、
むずかしい状況を打開していくことも人生の知恵である。
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しかし、そうは言っても、怒るのが不得意という人も存在している。
そういう人は、なかなかタイミングよく怒れないし、
怒っても何だかさまにならず、相手に無視されてしまうことも多い。
「自分だって、怒ればできる。今は本気で怒っているわけではないからしないだけ」
と言う人がいるが、こういう人はたいてい怒る動きが下手なだけで、
なかなかうまく怒ることができず、いざというときには、
逃げ出すか、わけがわからなくなて本当にキレてしまう。
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一方、もともと、怒りのしぐさを表現するために必要な動きが得意な人もいる。
ここでは、怒っていることがよくわかる、典型的な怒りのしぐさを紹介する。
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「怒って机をたたく」というのは、怒っていることがよくわかるしぐさだが、
実際にやったことがある人は少ないかもしれない。
これは、うまくいけば、相手を黙らせ、
相手があなたの意見を受け入れるきっかけになる。
もちろん、あまり頻繁に行うと、わがままな人という印象が
残りやすいので、ここぞというときに使いたい。
あなたが相手に筋道をたてて説明してきたにもかかわらず、
まったくあなたの主張が受け入れられず、硬直状態に陥ったときに、
それを打開し、あなたの決意の固さを印象付けることができる。
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まず、相手の方に乗り出し、攻撃的な態勢をとって、相手をにらむ。
イスにもたれたまま、机をたたくと、
なげやりなイメージと横柄さが目立つのでこの場合は不適切。
がまんにがまんを重ねてきたあなたは、いよいよ堪忍袋の緒が切れる。
用意していたこぶしを勢いよく振り上げる。
身体を反り返らせると、動きが大きくなり、相手を驚かせる効果が増す。
同時に、注目を引くために、大きな声をだしてもよい。
「何をくだらないことばかり言っているんですか!!!」など。
そして、一気にこぶしを振り下ろす。
机は、安っぽい木の机ほど大きな音が出る。
高級な一枚板の机や大理石のテーブルでは大きな音は出にくいので注意。
また、ガラスのテーブルの時にはこの手は使わないこと。
このとき、腕だけを振り下ろすのではなく、
上体を動かして机をたたくと迫力が増す。
ドン!
と大きな音がして、あたりは一瞬静かになるはず。
そこで、あなたは自分の決意を
熱く語る。
(熱く語る内容がないときはこの動きは使わないこと。)
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もっと、意志強固に見せたいなら、机をたたくと同時に
上体を勢いよく上に動かし、あごを上げて
フンッ!
という動きをする。